あるがままの心

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権利を探して 32

運命を動かすのはたった一言だけで事足りるのかもしれない
「一緒に働かないか?」
そのたった一言が彼の世界をどれだけ変えただろうか

誰もが生きていける場所を創りたい
そんな夢を掲げる青年に引っ張られるように
何かを信じてみたくなって
共に歩んでみたくなって
気がつけば一緒に働いていて

彼はそこで知ったのだった
みんな傷ついて生きているということを

みんな苦しんでいるから苦しむのが当たり前なのではないのだと
誰も苦しみたくて苦しんでいるのではない
ただ―寄り添ってくれる誰かを捜している

たとえ死にたくなるほどの痛みを抱えたとしても
その残った傷が温もりを求めるからこそ生きることを望む

ならばその過去が―その傷がその人を生かしているとは言えないか

強さを貫いて生きるのではない
弱さを認め合いながら生きていくことの方が大事なのではないかと

青年の願いは語り合いながら形となっていく
そこには単なる夢だけでは終わらない強い意志があった
それはきっと他の人もその夢を見てみたいという願いだろう

そんな中でいじめにあっている苦しみを吐露する少年に出会った
この出逢いが彼の―かつてホームレスとなり誰からも必要とされなかった人の―過去を変えた

話を聞いていくうちに―それは彼が通ってきた道そのままだと思う
涙ながらに苦しみを吐き出す少年が―嗚咽混じりに言う

…死にたい…と―

彼は何を言おうか―判断に迷い…
ふとよぎる過去がある言葉に光を当てる

あの時誰にも言えなかった言葉を吐き出す少年に
あの時誰かに言って欲しかった言葉を思い出して

―君が死にたいのは分かる…
―でも生きる場所は学校だけじゃないんだ
―逃げ出したっていい
―笑われたって格好悪くたっていい
―生きていることが一番大事なんだ
―苦しいことを我慢しなくちゃいけないなんて
―そうまでして学校に行かなくてはいけないなんて
―誰が決めたんだ

―君は――どうしたい?―
―誰かにどうして欲しいとかそんな事じゃなくて―
―君が君自身にしてあげられることは何かな?―

―…きたくない―
―いきたくない―

何処に?


―学校に―生きたくない―

もう一度―今度は声を上げて泣いた

それは自然に訪れた動作だった
―そっと頭を持って背中を抱える
―それでいいんだ―
―行かなくていい―
―遠回りをしたっていいじゃないか―
―歩き続ければまた違う場所に出られるよ―
―だから生きていくんだよ―
それは孤独に苦しむあの日の自分に―してほしかったことだった

この時彼の中の暗く黒い感情―そんな生やさしいものではない―胸の内の塊が
溶けゆく氷のように消えていくのを感じ取る
その時流した涙は―紛れもない当時心の中で流していた涙だった

その時彼は過去はこの瞬間のためにあったのだと知る
闇の中に射す一筋の光のように
それは過去を温かく照らしてくれる
その光のために生きていこうと

その時の暗い感情は確かに必要だったかもしれない―
彼はその日の夜―独り考える
―あの時は確かに長く 苦しく 辛く 終わりの見えない日々だった
死んでしまいたいと何度思っただろう
しかしもしも死んでいたならば
この瞬間には決して出会えなかっただろう
あの時の傷はもう一生癒えないかもしれない
その想いに何度絶望しただろう
あの日々は終わったというのに―心は未だに闇の中にいる―
―その逃げ切れない闇がどれほど人生を絶望に追いやっただろうか
だが―ここに生きて与えられる何かがあるのなら
それが漆黒の闇を払う光であって欲しいと思う
あの時求めた温もりを 願った優しさを その光に見ることができるだろうか
そうであるなら――それすらあってよかったのかもしれない――と
思えるだろうか――
そう――苦しみの中でも決して消えない光のように
求めずにはいられなかったからこそ
今日まで生きてこられたのだ
それはその死をも望む痛みが今日までこの命を生かしていたとも言えないだろうか…

独り―彼は泣いた

泣かないから平気なんじゃない
そういう人たちは心の中で泣いているかもしれない
彼の少年の姿を思い出す――そう……泣いていいのだ

苦しい時は苦しいと言っていい
痛い時は痛いと言っていい

痛みに耐えられないことが問題なのではない
痛みに耐える内に壊れていく心が問題なのであり
その弱さ自体が問題ではなく
その弱さを受け入れられないこの社会の人との関係が問題なのだ

もしもあの時苦しいと言えたのなら―助けを求めることができたなら
また違った世界を生きていられたかもしれない…







 

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  1. 2014/08/18(月) 10:35:49|
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