あるがままの心

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権利を探して 20

少年は人を殺めた罪悪感で心が押し潰されていた

かつての少年兵が泣き叫んで―絶望を口にした

凄絶な過去を思い出して―

突然頭を押さえて―叫び出し
そして壁を叩くのだった―彼女はそれを止める

その腕に噛みついた少年の瞳は―涙で濡れていた

彼女を突き飛ばして―少年は叫ぶのだった

ぼくは幸せになってはいけないんだ――と……
ぼくの未来は絶望しかない――のだと……

―人を殺した自分が幸せになっていいはずがないんだ―

彼女はその言葉を否定したかった
しかしその言葉に彼女は言葉を失った

自分の半分以下の年齢の子どもが人生の絶望を泣き叫ぶのだ
彼女は思わず少年を抱きしめて一緒に泣いた

彼女の涙は夜になっても止まらなかった
己の無力さに―そして戦争という一言が物語る悲惨さに

しかし―争いのない平和な世界に生きてきた彼女に
一体何が言えただろうか

それでも彼女は再び少年に会いに行く
あの時―あの町の片隅で
出逢った希望を信じたいと願うからだった

―あの子にもう一度生きる事に光を見出して欲しい―

彼女の抱いた願いが導くかのように
少年に会う意味が彼女の中に芽生えた

人を信じてもいいんだよ
許されるんだよ
生きていてもいいんだよ

―そう
君は幸せになっていいんだよ

それを少年に伝えたいと想った
願いながら会うようになった
そして少年を祈る夜を経る

それはただ毎日子どもと会うというだけのことだが
彼女の小さな闘いでもあった

何度話しかけても返事をすることはない
拒絶すら示す
心のドアは固く閉ざされている

それでも彼女は諦めなかった
来る日も来る日も笑顔でいた

ここで彼を諦めるなら
彼女は自分が信じるものを―裏切る気がしたのだろう

子どもに会う日々がそうして続いた
諦めずに―会い続けた…

ある日
少年の笑顔を彼女は初めて見た
この瞬間を彼女は一生忘れないだろう

この日を境に少年は段々と笑顔になっていった
彼女はその笑顔に希望を見た

希望の背後には絶望が控えている
少年はふと―家族のこと―戦争のこと―忌まわしい悪夢のような現実を―訥々と語った
                                             (とつとつ)

心の奥では唇を噛み―拳を握りしめた―血が滴るほどに
その噛みしめた痛みは少年が彼女に噛みついた痛みに似ていた

言葉に耳を塞いではいけない
彼の目から逸らしてはいけない

彼女にできることは背中を向けることではなく
ただ向き合うことだった―認めることだった

「ぼくね―夢があるんだ」
別れの前に彼は切り出した

「誰も傷つかなくて済む世界を作りたいんだ」
政治家になってこの世界を平和にしたいと夢を―語った

どんなに絶望しようとも
それでも心は希望を―未来を見出すことはできるのだと

それはその人次第であることを彼女は知った








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  1. 2014/08/06(水) 11:14:03|
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