あるがままの心

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権利を探して 15

悲劇はいつだって突然―何の前触れもなく起こるものだ
―それは民族同士の争いだった

少年は今や青年になり―そして仲間もできた
自分一人でも何かできることがあるのだと―希望を胸にしていた―その矢先だった

それは国際的にも例を見ない大量虐殺だった
その時から今に至るまで血の争いは絶えることはない

それは政府の陰謀だったのか
今となっては分からない

隣国が武器を大量に輸出したという事実が発覚し
国際社会の批難の的になるのはそれから何年も後の事である

包丁 鉈 銃…それらを持った人々が村に押し寄せる
それはとある一つの民族から始まった

村は混乱に陥り 錯乱した中に血が舞い
悲鳴が轟き 閃光のように消えた
生きながらえた人々にも 死の恐怖は追いかけ続けた
彼はそれから一年に及ぶ死闘とも呼べる生活を余儀なくされた

ある人は拷問に遭い苦痛に溺れて死んでいった
ある人は道具同然に扱われ玩具のように弄ばれた
彼らは人間として扱われなかった

その過酷な世界を生き延びたとしても
心に頂いた恐怖は―痛みは―生涯癒えることはないだろう
平和な世界に生きようと―心はかつての悲劇の渦中に生きているのだから
それは突然思い出すもの―堕ちてしまうもの
それは鮮烈な残像となって襲い掛かる
それはまるで再びその時代に舞い戻ってしまったかのように

ある者は麻薬に 酒に溺れ―過去を忘れようとして身体を壊し
またある者は発狂し精神病院に閉じこめられることになる
誰もが苦しんでいた―しか彼らは救える者は誰一人としていなかった

―老人の失われた片手片足が
その悲劇を物語っている

老人はそれららを語り継ぎ―平和を謳い続けると決めたのだった
もう二度とあのような悲劇を起こしてはならない
平和のために生きる道を我らは模索していかなくてはならない

希望の芽は潰えたわけではない

砂漠にすら花が咲くように
絶望の中にも希望は存在するはずだ

利益を求める暴力的な関係を断ち切ろうと多くの人が祈る
それでも絶対的な権力の前には無に等しいのかもしれない

それでも人は
他者と繋がることを通して

希望を伝え
夢を紡ぎ
平和を願うはずだ

老人は語り続ける

―汝知らないであろう

―昨日まで友人と想っていた人が包丁を持って襲い掛かってくる悪夢を
その嬉々とした瞳に 自分の怯えた表情が映る絶望を―

事態が収束に向かったのは国際社会でこの残虐な行為が明るみに出たからだった
他国から集結した軍が介入し―この虐殺は終わった―かに見えた…
それは民族間の生き残りを賭けた紛争として
違う国で―違う場所で―街で―家で―人と人との間で―今も尚―続いている

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  1. 2014/08/01(金) 10:49:43|
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